
介護が必要になった場合に、まず相談したいのが地域包括支援センターです。高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けられるよう、介護サービスや日常生活支援などの相談に応じています。
「高齢者サポートセンター」など、各自治体で名称が異なる場合がありますが、いずれも「地域包括ケア」の中核を担う役割を持っています。
本格的に介護サービスを受けようと考えた時に、あなたの強い味方となってくれるのが「ケアマネージャー」です。
ケアマネージャーは、介護サービスを受ける計画書となる「ケアプラン」を作成します。選び方や付き合い方についてはこちらのページを参照してください。
地域包括支援センターとは・・・
介護を考え始めた時、「地域包括支援センター」という言葉を聞いたことがある人は多いでしょう。しかし、どう活用していけばいいかわからない方も多いと思います。
地域包括支援センターを上手に活用することができれば、早い段階で介護予防に着手でき、介護そのものを遠ざけることができます。
また自分がやるべきことの道筋が見え、介護が始まった時にも慌てることなく対応ができ、心の負担も軽くなることでしょう。
地域包括支援センターの役割
地域包括支援センターとは、介護・医療・保健・福祉などの側面から高齢者を支える「総合相談窓口」です。
専門知識を持った職員が、高齢者が住み慣れた地域で生活できるように介護サービスや介護予防サービス、保健福祉サービス、日常生活支援などの相談に応じており、介護保険の申請窓口も担っています。
各市町村が設置主体で、自治体が直接運営している場合や、自治体から委託され、社会福祉法人や社会福祉協議会、民間企業などが運営しているケースもあり、人口2~3万人の日常生活圏域(多くの場合、各中学校区域)を1つの地域包括支援センターが担当しています。
地域包括支援センターは、対象地域に住んでいる65歳以上の高齢者、またはその支援のための活動に関わっている方が利用できます。
注意が必要なのは、支援や介護が必要な方と、相談したい方が離れて暮らしている場合です。
離れて暮らす親について家族が相談したい場合は、支援対象者となる親が住んでいる場所の地域包括支援センターに問い合わせましょう。
地域包括ケアとは・・・
少子高齢化が急速に進むなか、国は人生100年時代にふさわしい社会への転換を推し進めることを示しています。
具体的には、高齢者になっても住み慣れた地域で、自立した生活を最期まで送ることができるように、必要な医療、介護、福祉サービスなどを一体的に提供し、すべての世代で支え・支えられるまちづくりをすることです。
そのためのしくみを「地域包括ケアシステム」といいます。
全国の市区町村では現在、それぞれの地域に合った「地域包括ケアシステム」の構築を進めています。
地域包括ケアシステムの基本的な考え方
地域包括ケアシステムは、各市区町村がその地域の特性に応じて創り上げていくものです。そのための構成要素を厚生労働省では次の5つとしています。
- 介護介護が必要になったら利用する介護サービス全般
- 医療かかりつけ医、看護サービス、急性期病院、回復期リハビリテーション病院など医療サービス全般
- 予防いつまでも元気で暮らすための介護予防や健康づくり、保健衛生面など
- 生活支援日常の暮らしを支えて自立を支援するための福祉サービスや地域交流に関すること
- 住まいと住まい方高齢者の住まいの確保、賃貸住宅入居時の保証人の確保、空き家の活用など
以上の5つの要素を、総合的かつ一体的に提供するシステムを構築することが地域包括ケアシステムの目的です。
生活のベースとなる「住まい」と、生活を支える「福祉サービス」をまず確保し、そのうえで「医療、介護、介護予防」を有効的に機能させます。
なお、地域包括ケアシステムにおける「地域」とは、住民の日常生活の範囲をいい、具体的には30分程あれば駆けつけることができる範囲とされています。
ケアマネージャーとは・・・
ケアマネージャーは、介護保険サービスを利用するときに、なくてはならない存在です。正式名称は「介護支援専門員」といい、介護保険法に規定された専門職です。
要介護認定を受けた人が適切な介護サービスを利用するために、ケアマネージャーは「介護サービス計画書(ケアプラン)」を作成し、市区町村や実際に介護サービスを提供する事業者との連絡や調整を日々行い、利用者の介護サービス全体をマネジメントしています。
ケアマネージャーとは?
ケアマネージャーは、利用者が必要としている介護サービスを過不足なく利用できるように、利用者の立場に立って総合的な支援をする役割を担っています。
介護サービスは、利用者が自立した日常生活を送るために必要とする、治療や看護といった保健医療サービスから生活支援などの福祉サービスまでを、総合的に判断してサービスを組み合わせ、適切に利用するものです。
ケアマネージャーはそのマネジメントを行う人です。
ケアマネージャーは、介護・医療・福祉分野の何らかの資格を持ち、実務経験が5年以上あり、ケアマネージャー試験に合格した人がなれる職業です。
ケアプランの作成と介護サービス事業者との連絡や調整を行う事業者を「居宅介護支援事業所」といい、ケアマネージャーはそこに所属しています。
具体的な業務
- 利用者本人や家族に対して適切な介護サービスの提案
- 介護保険の申請代行
- ケアプランの作成
- 介護に関わる各種手続き
- 行政や介護サービス提供者との連絡・調整などがあります。
介護サービスはケアプランがないと利用できません。プラン作成はケアマネージャーの要の仕事といえます。
また、ケアプランは利用者本人や家族が作成することも可能ですが、ケアマネージャーはサービス提供事業者を知っており、給付の上限額(区分支給限度額)の範囲内でサービスを組み合わせるための正確な計算ができます。そのため、専門職であるケアマネージャーに依頼するのが一般的となっています。
ケアプランとは・・・
介護保険を使ってサービスを受けたい時は、ケアプランが必要になります。ケアプランとは、介護保険サービス(介護サービス)をどのように利用するかを決めた介護計画書のことです。
ケアプランとは何か
在宅介護の場合も、施設介護の場合も、要介護または要支援の認定を受けると、介護保険を使ったサービスを利用することができます。
しかし、無計画ではだめで、ケアプランというものを作成し、それに沿ってサービスを受けます。
ケアプランは、一人ひとりの利用者がどのような介護サービスを受ければ、質の高いその人なりの自立した生活が送れるようになるかを考えて、介護サービスを組み合わせた計画書のことです。
介護保険サービスを受ける場合、要介護者、要支援者のどちらにもケアプランは必須です。
要介護者の場合は「ケアプラン」、要支援者の場合は「介護予防ケアプラン」と呼びます。
要介護者のケアプランは、民間事業者である「居宅介護支援事業所」に所属するケアマネージャーが作成し、要支援者の介護予防ケアプランは利用者が住む地域を担当する地域包括支援センターが作成します。

介護のスタイルには、おもに3つの選択肢があります。
1:在宅介護

在宅介護
自宅で介護士や家族が介護する介護スタイルです。
主に、親と同居して介護することを指します。
在宅介護のメリット
在宅介護の最大のメリットは、要介護者が住み慣れた自宅で生活を送ることができる点でしょう。また、「これまでの恩返しとして、自ら介護したい」という方にとっても、すぐそばで見守ることのできる在宅介護はおすすめです。自ら介護する分、介護費用がかからないこともメリットとして挙げられます。
- 「家で過ごしたい」という要介護者の希望を叶えられる
- 自分で介護したい、近くで見守りたいという人にはマッチする
- 自分で介護する分、介護費用がかからない
在宅介護のデメリット
一方で、在宅介護にはデメリットもあります。最大のデメリットは、介護者の精神的・肉体的負担が大きいことでしょう。介護は24時間つづく重労働です。介護保険サービスなどを上手く活用しながら、無理のない範囲で行わなければいつか破綻していしまいます。また、夜間に状態が急変した場合などの対策も必須です。
- 介護者に大きな精神的・肉体的負担がかかる
- 緊急時の不安が大きい
2:遠距離介護

遠距離介護
離れて暮らす高齢の親が自立した生活を送れるように、別居している家族がサポートする介護スタイルです。
遠距離介護のメリット
遠距離介護のメリットのひとつに、要介護者・介護者双方が転居しなくてすむという点が挙げられます。お互いが住み慣れた場所で生活を送れるので、その分ストレスも減るでしょう。また在宅介護と比較して、四六時中介護に直面するわけではないため、心理的な負担が少ないケースもあります。
さらに、独居の家族を遠距離介護している場合、いずれ施設への入所が必要になった際、優先的に入所できる可能性があります。
- 要介護者・介護者の双方とも転居せずにすむ
- 施設入所の際、独居のほうが優先的に入所できる可能性がある
遠距離介護のデメリット
遠距離介護の最大のデメリットは、交通費がかかることです。遠距離介護をしている人は週末などを利用して家族の様子を見に行くことが多いですが、遠距離であればあるほど交通費がかさんでしまいます。
また、自分で介護できない分、訪問介護等の介護保険サービスを駆使する必要がでてきますが、介護保険サービスも無料ではないので、その分費用がかさみます。
- 交通費がかかる
- 介護費用がかかる
3:施設介護

施設介護
親が老人ホームなどの施設に入居して介護サービスを受ける介護スタイルです。
施設介護のメリット
施設介護の最大のメリットは、介護のプロが見守ってくれる点でしょう。施設には介護士の他に看護師や医師などがいるため、万が一のときも安心です。
また、自ら介護する必要がないので、介護者にとってはその分精神的な負担が軽減されるでしょう。
- 専門家に介護してもらえる
- 家族の負担が軽減される
施設介護のデメリット
デメリットとして、施設利用の費用の高さがあります。終身利用を前提した介護保険施設(介護保険が使える施設)は特別養護老人ホームと呼ばれていますが、こちらでも介護費の他に個室費用などがかかります。
高級有料老人ホームとなると、入居一時金だけで数千万円の支払いが発生することもあります。また、仮に高額な入居費用を支払ったとしても、その環境が要介護者に合うかどうかまでは保証されません。場合によっては、施設になじめず退所し、自宅に戻ってくることもあるのです。
- 費用が高い
- 退所してしまうこともある
どの介護スタイルにも、それぞれメリットとデメリットがあります。
自分の仕事や経済的状況、親の状態などを考慮して、何が最適なのかをよく考える必要があります。